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かぐや姫は月に帰った

先日亡くなった高畑勲監督の遺作、「かぐや姫の物語」がテレビで放送されていたので見た。
従来のジブリ映画とは趣きが異なる作品だ。
今回改めて見て、よくできているとしみじみ。

忘れかけているが、私の専門は平安朝文学。
『竹取物語』は変体仮名で習った。ずいぶんハードな授業だった記憶がある。
紫式部は『竹取』を「物語の出で来はじめの祖」と言った。
日本最古の物語だ。
月に帰る姫君の物語が、日本最古の物語作品とはエレガントではないか。

この作品の作者は不詳ではあるものの、当時、出世レースからはずれた男性貴族であったことは、まず間違いない。紀貫之では、などいろいろな説がある。
不思議なことに、男性が書いたものにも関わらず、女性の気持ちがよく描かれていて、しかも、それが1000年も前のものだ。
元ネタとして、中国の『斑竹姑娘』を挙げる学者もいるが、細かい描写はこの男性作者によるものだろう。

ストーリーは、月から来た姫が成長し、クズ男を一人ずつ潰してゆき、最後は月に帰るというもの。
作者は姫を使って、出世した男性をこき下ろしている。
「かぐや姫の物語」には、捨丸という原作にはないキャラクターが登場していて、なかなかよい味を出している。幼馴染の姫に再会し、すでに女房・子どもがいる捨丸は、姫と一緒に出奔したいと言う。
結局は、彼は子どもを抱き上げて、女房と歩き出す。
一夫一婦制は日本ではまだ新しいものなので、不倫ということばは当たらない。
だが、なかなかのクズ男っぷりが、いい感じだ。

私の旅行会社は、この姫の名前をいただいた。
姫は、時間も距離も移動する旅行者だ。
さらに、こんな面白い、1000年も前の作品に寄るとはよいのでは、と。
変体仮名のテキストが、いまだにチラチラしないでもないが、よい名前だと思っている。

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